ともだち
「たんけん!本のまち」とは
子育て中の親たちが、新しい本との出会いにつながるような特集や、おすすめしたい子どもの本の感想をご紹介しています
あらすじ・感想・おすすめポイント
ともだち
作: 谷川俊太郎
イラスト: 和田誠
出版社: 玉川大学出版部
対象年齢:幼児〜小学校低学年向き
「本当の友だちってなんだろう?」「うわべだけの友だちと、どこが違うのかな?」と考えさせられる。
あらすじ
「ともだちって みんなが いっちゃったあとも まっててくれるひと。」
―谷川俊太郎の珠玉の詩と、和田誠のほのぼのとしたイラストによる、幼児~小学校低学年向き絵本。
よい友は一生の宝であり、生きて行くうえで友だちがいかに大切かということを、やさしいことばと楽しい絵により、幼児にもわかりやすく語りかける。
おすすめポイント
・この絵本の対象年齢は、幼児〜小学校低学年向けとありますが、幼児にも親しみやすく読みやすいし、小学校高学年や中学生にも気づきがある内容で、成長に合わせて、幅広い年代の子どもの心に刺さります。
・和田誠さんの淡々とした味わい深いイラストが素晴らしく、谷川俊太郎さんの文によく合っています。もし、エモい感じのイラストだったら、この絵本の印象がだいぶ変わってしまうと思います。
・友だちをテーマにした子ども向けの本にありがちな、説教くささや道徳的価値観の押し付けがありません。そのため、かえって、子どもたちの心に残り、友だちについて真剣に考えることができます。
この本にまつわるエピソード
読み聞かせボランティアの本選びの際、『小学校での読み聞かせガイドブック 改訂版』(発行:プランニング遊)をいつも参考にさせていただいてます。
・卒業を控えた6年の最後に読むと、この時期しか感じられない味わい方で、心に沁み入ってくる本です。
『小学校での読み聞かせガイドブック 改訂版』
・6年間一緒に育ってきた友だちの大切さを、改めて感じることができるでしょう。
186・187ページ『ともだち』紹介ページより
私は上記引用部分を読み、実際に、卒業間近の小学6年生のクラスで読んでみました。
子どもたちは、それぞれに、いろいろと思うところがあるのか、しみじみとした雰囲気で静かに聞いてくれました。
そんな子どもたちを前に、この絵本を読んでいると、
「6年間、友達とすごしてきて、楽しいことも、つらいことも、たくさんあったよね。あんなに小さかったのに、みんなホントに大きくなったね・・」
と読んでいる私が胸がいっぱいになり感極まってしまいました。
『小学校での読み聞かせガイドブック 改訂版』
編・著:湯沢朱実、平田美恵子、対馬初音、高石聖子
出版社:プランニング遊
読み聞かせボランティアの本選びの際、いつも参考にさせていただいるガイドブックです。学年ごとにおすすめの本がカラーで紹介されていて、とても使いやすいです。
気になるポイント
多くの方がレビューで書かれているのですが、実は、この本には、少し気になる一文があります。
「おかあさんや おとうさんや せんせいに いいつけるのは ずるいんじゃないかな」
この文は、今の子どもたちに誤解を生んでしまう可能性があると思います。
残念ながら学校という場では、時に、悪質ないじめや暴力も起こります。そのような場合は、ただちに大人が介入すべきです。
今、学校で辛い思いをしている子が、この一文を読んで、自分はずるいのだと自分を責めてしまったり、大人に相談するのが遅れてしまっては心配です。
全編通して谷川俊太郎さんの伝えたいことは、「友達がそばにいるということの大切さ・目に見えない心の絆」だと思います。
親子でも学校でも読み聞かせする時は、一言フォローを入れてあげると良いかもしれません。
このガイドを書いた人
まねびBOOKS ねこ
中学生・小学生の二児の母。子どもの絵本や児童書、参考書を読むのが好きです。こたつで丸くなり、本を読みながら寝るのが幸せ。
まねしたい学習方法やおすすめの参考書を共有するマガジン「まねび茶屋」をnoteでかすみさんと共同運営しています。