こんとあき
「たんけん!本のまち」とは
子育て中の親たちが、新しい本との出会いにつながるような特集や、おすすめしたい子どもの本の感想をご紹介しています
あらすじ・感想・おすすめポイント
こんとあき
作:林 明子
出版社:福音館書店
大好きな相棒との旅は忘れられない宝物に。絵本「こんとあき」
子どものときに相棒だったもの、覚えていますか?
大切なぬいぐるみ、お気に入りの玩具やブランケットなど私も思い出すものがいくつかあります。
名前をつけて話しかけたり、勝手にストーリーを想像して遊んだり。
一緒に布団のなかに潜ればそこは秘密基地で、寝るときには自分の決めた設定でいつも相棒たちと冒険に出ていたなぁと思い出します。
今回は幼い女の子「あき」が相棒のぬいぐるみ「こん」と旅する絵本「こんとあき」をご紹介します。
どんな絵本?
「こん」はあきのおばあちゃんが作ったきつねのぬいぐるみ。
あきが生まれてくるのを、こんは待っていたのです。
あきにとって、こんはいつも隣にいる存在。
でも、あきが成長して大きくなるにつれて、こんは古くなっていく。
ほころびてしまったこんの腕を治してもらうために、ふたりは砂丘町にあるおばあちゃんの家に向かいます。
その旅の道中はハプニングばかり💦
無事におばあちゃんの家に辿り着いた時にはホッとして、自分も一緒に大冒険したかのような気持ちになりますよ。
こんがお兄ちゃんみたいで微笑ましい!
旅の道中、初めての旅にドキドキのあきをリードするこんは、まるでお兄ちゃんみたい。
「あきちゃん、ぼくについてきて」
「あきちゃん、まどのほうにすわっていいよ」
小さいけれど心やさしいジェントルマンなのです。
こんの口グセの「だいじょうぶ、だいじょうぶ」に癒される一方で、汽車のドアにしっぽを挟まれたり、砂丘で野良犬に連れ去られたり、全然大丈夫じゃないストーリー展開も見どころです😅
『大好きな相棒との旅』がいつまでも心に残る!
絵本の中に出てくる一面に広がる砂丘のページ。
私は本物の砂丘を見たことがないので、砂丘と聞くといつもこの絵本を思い出します。
物語のなかで出会う旅の風景、ハラハラドキドキと安堵、娘に読み聞かせたときの反応、いろんなものが混じって大人の私にもずっとなにか残るものがあるんです。
娘が大人になったとき、本屋で「あっ懐かしい!」とまたこの絵本を買うだろうな。
何故かそんな気がしています。
林明子さん作の大人気絵本「こんとあき」。
ぜひ親子で読んでみてくださいね。
この記事を書いたブックガイド
ことり絵本堂 笹原ゆう
3歳の息子と小学生の娘の母。
家のソファや階段に腰かけて、子どもと絵本を読む時間が好き。
お気に入りの絵本や気付きのあった絵本を中心にご紹介しています。