パパ経営者から学んだ『コンサル的絵本読み聞かせ術』
「たんけん!本のまち」とは
子育て中の親たちが、新しい本との出会いにつながるような特集や、おすすめしたい子どもの本の感想をご紹介しています
〇〇に夢中なこどもの本棚
子どもたち一人ひとりの『好き』の形が違うように、それぞれの本棚にも子どもが夢中になったものの歴史が表れると思いませんか?
メンバーシップ“ファミリーライブラリー”のメンバーの皆さんと noteで記事を執筆されている皆さんのご協力のもと、いろんなお子さんの『夢中が詰まったこどもの本棚』を集めました。
- 興味の歴史が見える!元素に夢中なこどもの本棚(ミーミー)
- パパ経営者から学んだ『コンサル的絵本読み聞かせ術』(tetoteミウラ -コミュニケーションを考える人-)
- 本好きの息子は宇宙に夢中(おおやまはじめ)
- 数字に夢中なこどもの本棚(村山幸)
- 「生き物」に夢中な5歳の子どもの本棚を紹介するよ〜〜〜!(猪狩はな|教育ライター)
- 今の「好き」に至るまでの読書変遷(かわせみ かせみ)
- 想像好きでマイペースな小学生女子の本棚(笹原ゆう)
- 電車に夢中なこどもの本棚(suzu |すず)
- 恐竜が大好きな子供の本棚(くま)
- 「重松清」に夢中なこどもの本棚(茉叶💫Makana)
- 陸上に夢中な小学生女子の本棚(茉叶💫Makana)
- 外遊びと強い生きものが好きな息子の本棚(きいす)
パパ経営者から学んだ『コンサル的絵本読み聞かせ術』
こどもが夢中になっていること、その「こどもの本棚」と言う面白いテーマをいただいた。家にある絵本にむきあったんだけど、何から伝えればいいのかわからないまま時は流れて…
まず、何者でもない自分の話より、この記事を読んでいただいたパパママに役立ちそうなそれっぽい話を1つしようと思う。(のでゴリゴリのタイトルにしてみました)
エリートパパの絵本読み聞かせ術
とあるイケイケ企業かつイケメンパパ経営者にご飯をご馳走していただく機会があって、それはもうエリートで頭が切れる方だった。話聞いてるとすごい量、本を読むらしいんですね。
その方は、国立大学を出たエリート。若い頃ビジネス界で著名な経営コンサルの方の鞄持ちをしていて、事務所に送られてくるたくさんの献本(付き合いや影響力ある人に出版社から無料で届くやつ)をたくさん読んで、本の虫になったと。
『自分自身の子育てで子どもに絵本読んでますか?』と聞いてみると、もちろん読んでいて、1冊長い時は30分〜40分かけて読んでいると。(長くね!?寝かしつけ中には確実に無理…)どうしたらそんなに長く読めるんですか?と聞くと、一つの話をより深ぼって話したり質問していくそう。
よく、ここに何匹いる?この主人公の気持ちは?英語で言うと?など、質問しましょう、と最近の絵本では親向けにアドバイスがされてたりもしますよねただ、そんな30分も質問も持たない…。
もっと質問を重層的にしてるはずなのです。コンサル的には「MECE」とか言うけど、ブレイクダウンして考えて話しているのでは・・・?と、この話から妄想して「うさぎとかめ」の読み聞かせを図解して考えてみます。
例えば、カメが勝てたのはなんで?という質問をするとします。子どもの意見をまとめると「カメの頑張り」or「ウサギの驕り(油断/慢心)」という類の意見が出てくると思います。1回なぜ?をしたことで思考は1つ深くなっています。さらに2つ目のなぜ?で深堀すると・・・
予想するに道徳的な「カメが諦めずに頑張ったから=折れないハート」が子どもから一番出てきそうな意見。
2回目のなぜ、で抽象的な「カメの頑張り」の理由は「諦めない心」にある。具体的な仮説ができます。これが「深さ」です。
カメとウサギに、さらに横へ「広さ」を付け加えます。
右の方向に、さらに考え得る選択肢を追加していきます。カメの頑張りにも、ウサギの驕りにも、さらに理由が増えてきました。子供との会話では
①カメは諦めない心素晴らしいよね②ウサギが疲れたり余裕ぶっこいて寝ていたから勝てたけど、案外長距離だったのかな?意外とカメに体力あったのかも。③あと、最初に「てめえに負けるわけない」とディスられても、平常心で自分のペース守れたのすごいよね。
【カメ側】の勝てた要因
①ウサギはカメだから寝ちゃったけど、例えばキツネとの勝負だったらどうだったのかな?②単に、性格がお調子者だったり他者へリスペクトがないタイプの個体だったのかもね。③今まで「負けたこと」がなかったからことが原因だったりしないかな?
【ウサギ側】の油断の要因
と、話は膨らんでいきます。一冊の本をブレイクダウンして子どもと対話していく。(誇張してるので面白い読み聞かせかは置いておいて…)多分、こういうアプローチをエリート経営者の方はしているはずなんですね。
賢くて優秀で高学歴エリートになって社会的に成功してもらいたい!と願うのであれば似たようなやり方をすれば良いかもしれません。
ささ、何とか役に立つ話ができたっぽいので、もう1人の曲がりなりにもプチ経営者である私の話をしたいと思います。
おすすめ記事
ずらし系パパの絵本読み聞かせ術
息子は「ふざけること」に夢中になっています。お笑い芸人さんのギャグや面白いCMが好きだし、笑いを取ったり、真剣なモードを嫌うキャラクター。
もちろん7歳位の男子はこーゆー挙動をするといっても間違ってないかもしれないが、その切れ味や割合や頻度が他の子とは違うんですよね。
振り返ってみると、自分の絵本の読み方も影響して夢中にさせるきっかけを作ったんじゃないかなと。よく読んだなぁと思うのがこの1冊。
ダンダン こうじ はじまります (視覚デザインののりものえほん)
著:視覚デザイン研究所
イラスト:くにすえ たくし
出版社:視覚デザイン研究所
大筋のストーリーラインは大きな施設を建設する工事現場で働く動物たち。それぞれ役割を持っていて仕事をしている。
例えば、ホイールローダーで土を運ぶシーン。「ゴリラ」の見せ場ですが、建設現場に現場監督やデベロッパーサイドのような「キツネ」「ブタ」さんなどの会話が何か気になります。
んで、超小さいですが、左上にはペンギン作業チームがいる。この鳥たちも何を言っているか気になる。私はそこの味付けをたくさんしてました。
ブタ「早く昼ごはん食べてーなー。」
カモノハシ「これお願いします!」キツネ「はい!丁重にお断りします!」
ペンギン「うぇー重くて運べないぜよー」
子供からすると「書いてないことを勝手に作ること」がとても面白いみたいで、ケラケラ笑ってツッコミしてくるようになり、次第に真似し始めるようになりました。
俯瞰シーンも目が気になる部分がたくさん。重機の種類が魅力的な絵本ではありますが、声や音、さまざまなストーリーが存在しています。
「深く」「広く」、最後に「飛ぶ」
前述のツリー図のように、なんで?と深く広く聞くことはやりつつ、さらに「飛ぶ」=イメージの世界に入る。書かれたものをそのままに受け取らず、ずらすこと。そんな見本を見せてた気がします。(寝かしつけ絵本では先にパパが寝ちゃうから能動的にしてたのもありますが…)
今回コンサル的視点として参考にした図書『解像度を上げる』では「広さ」「深さ」に加えて「構造」「時間」という思考法を上げています。違う時間軸で考えると?似たような構造のものと入れ替えてみると?イメージを飛躍させるときに必要かなと感じました。
子どもたちは視点をずらすことへの快感や楽しさ、に目覚めたのかもしれません。7歳息子のふざけ方・ボケ方・受け答えが、同年代と比べて視点を「良いずらし」てるな、と親バカしています。
私のキャリアの大半は、広告やデザインなどクリエイティブ系の仕事に携わってきました。面白いアイデアっていうのは「ずらす」ところから始まります。
それはカルチャー全般に言えてアートもお笑いもファッションでも何でも良いのですが、新しいものは既存の見方を疑って、ちょっとズラしたり組み合わせるところから始まります。これをセンスとか呼びます。
センスだけでは続かないんですよね。コンサル的なブレイクダウンも必要で、全体像を網羅すること。そこから意識的に飛ぶ・ずらす。これが長期で続く人の思考法だと思います。
こういう分野は、かけっこ教室のように習ったら運動会で一位になれた!ような、短期スパンで実感できるものではありません。
絵本の読み聞かせは長期スパンで目に見えない形で効いてくるのかも。と改めて基礎的な素養としての必要性を感じました。
さあ、ママに任せっぱなしになっているパパがいたら、絵本の読み聞かせをしてみましょう!
本棚の絵本リスト
ダンダン こうじ はじまります
ダンダン こうじ はじまります (視覚デザインののりものえほん)
著:視覚デザイン研究所
イラスト:くにすえ たくし
出版社:視覚デザイン研究所
紹介したやつです。最後の展開がいつみても面白い!
くれよんのくろくん
くれよんのくろくん (絵本・こどものひろば)
著, イラスト:なかや みわ
出版社:童心社
色ごとのキャラクターがわかりやすく、多様性、スクールカースト的なテーマも含んでいて面白いです。
おすすめ記事
からすのパンやさん
からすのパンやさん (かこさとしおはなしのほん 7)
著:加古 里子
出版社:偕成社
かこさとしさんの絵本は、開くたびに「文字多っ!!」と読んでて口が疲れますが昭和的価値観に触れる「時間」の観点で面白いなあと思います。
解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法
解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法
著:馬田隆明
出版社:英治出版
絵本じゃないです。でも、めちゃわかりやすいのでおすすめです。自分の本棚にぜひ。
この記事を書いた人
tetoteミウラ -コミュニケーションを考える人-
tetote 代表 https://bra-nove.com/
「コミュニケーション」と「企業ノベルティ」を自由研究している人 。
企業ノベルティのことを日夜考えてる人。
企業ノベルティのこと。子育てと仕事の板挟みで苦しい現代パパのこと。自分が体験して改善したい!と思った課題に対して研究・発信してます。
マーケギフト(企業ノベルティ) https://marke-gift.com
カジラジ(Podcast) https://spoti.fi/3fSQn6T
■note https://note.com/tetote_m/n/nc09ab2cd4dab より転載しています。
この特集は、noteメンバーシップ『ファミリーライブラリー』3周年の特別企画です。
メンバーシップ『ファミリーライブラリー』
『たんけん!本のまち』では、noteメンバーシップの制度を利用して、“子ども本の情報交換“や“子育て中ならではの雑談”を気軽に楽しむことで、子育て家庭 と 家族みんなの本棚(ファミリーライブラリー)が もっと身近になる コミュニティを運営しています。
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